インドネシア、バンドンでトイレの調査をしたの巻

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インドネシア・バンドン市。

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お仕事でトイレの調査とデザインをやってきた。以前から情報交換をし続けていた北海道大学のサニテーション・グループとインドネシア技術院(LIPI)が今回のパートナー。エリアはインドネシア、バンドン、キアラチョンドン地区。30−40年前にバンドン市がテキスタイル産業で栄えた際に、農村から労働力として、一方で仕事を求めて集まってきた人たちによって形成されたコミュニティ、バンドン市内他エリアと比べると、人口密度が高いためスラムと呼ばれることもある。

さて、簡単に経緯を。12月末に北海道を訪問して、キックオフMTGから5回以上MTGを重ね、急ピッチでモックアップをデザインし、大学関係機関の助けを得て制作、バンドンに運び込んだ。1ヶ月後にはインドネシア・バンドンでのユーザーテストを開始。そして今に至る。

しかし、ここで1度立ち止まってみて「なぜ、今、トイレなのか?」を自分なりにまとめた。

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1.MDGs(ミレニアム開発目標)の達成度が低い
目標7のターゲット7-C「2015年までに、安全な飲料水と衛生施設(トイレ)を継続的に利用できない人々の割合を半減させる」というターゲットがある。このうち「衛生施設(トイレ)」の分野においては、世界人口の63%しか改善された衛生施設(トイレ)を利用しておらず、2015年までの達成は見込めないとされている。とは言っても、逆の視点から見れば、トイレが利用できる人は、1990年時点と比べ、約19億人増加し、世界の人口の約3分の2になっている。このうち2011年時点で、10億人が屋外で排泄を行い、そのうち90パーセントは農村部が占める。

なぜ、衛生的なトイレにアクセスする必要があるのか?は直感的に理解できると思う。(直感以外での理由もあるのだが、まだ勉強中でまとめきれない。)達成が難しいと言われているターゲットにm、世界を動かす鍵を握っていると言われるゲイツファンデーションが注目している。画期的な取り組みを行う研究にファンディングし、トイレの発明コンテストを開催するなど取り組みを加速させている。また国連はこれまで非公式に行われていた11月19日の「世界トイレの日(http://worldtoiletday.jp/) 」を正式なものと定めた。

2.下水道の普及度とトイレの水洗化
下水道の普及は公衆衛生や水環境の保全のためにも早急に対処すべき問題なのだが、飲み水にはお金を払っても、下水にお金を払うことには抵抗がある、という感覚は、途上国でも先進国でも存在する。

3.トイレという暗黙空間でのイノベーション
TOTOやLIXILに代表される日本企業はこれまで「ユーザー・エクスペリエンス」の側面から破壊的なイノベーションを推進してきた。ウォシュレットや暖かい便座である。しかし、それは家の中における空間やインフラが整っている前提で組み立てられてきたイノベーションである。ビジネスモデルの側面では、イノベーションは起こっていない。あくまでも、製品というスコープでビジネス活動を推進してきていた。

しかし、途上国においてはトイレというものを捉えるときに、スコープを広げる必要が出てくる。そうすると、必然的にアイディアの切り口や目的も変わってくるのだ。そして、ここにイノベーションの起こりうる可能性が生まれてくる。テクノロジー、ビジネスモデル、ユーザー・エクスペリエンス、この3つの側面全てでチェンジが必要になってくる。大企業にとっては途上国でのビジネスや新製品の開発はイノベーションのジレンマとの戦いであり、社内説得の連続になるだろうが、大学機関との共同であれば、そこはスムーズに進む。しかし、テクノロジーの実証に重きを置かれているパターンが多い、しかし、今回はビジネスモデルの検討も同時に行っているチームで課題は、ユーザー・エクスペリエンスの理解であった。
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そして、今回のインドネシア訪問は、主にユーザー・エクスペリエンスの部分に特化して調査を行った。想定していたトイレ内での行動やユーザーがトイレに対して感じていることを、プロトタイプのテスト環境を構築し、インタビューした。その他フィールドに足を運び、テスト・ユーザーのお宅を訪問しトイレを覗き、また設置対象予定のキアラチョンドン地区のトイレ事情を視察した。

これ以上の内容は語ることはできないのであるが、トイレの調査は面白い、常識を覆すアイディアが必要である領域なのは間違いない。
ゼロベースから考え直してアイディアを出す時間がもっとあれば…。

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