学びのプロジェクト”Design for Change”のこと

はじめに


隙間時間を使って、ボランタリー(いわゆるプロボノ)で ”子どもたちの学びのプロジェクト” を3年前から、やっています。(ベンチャーやってて、そんな暇なのかよ?仕事以外のことやり過ぎだろ!という鋭いツッコミはご遠慮をw)ひとまず、冒頭の注意書きとして広告も少し入ってます。クラウドファンディングにて、プロジェクトの支援を募集しているからです。最後まで読んでもらえれば、支援してもらえると嬉しいワケを、僕なりに説明していますので、お時間がある方はぜひ、最後までおつきあいください。

学びのプロジェクトの名前は「Design for Change」といいます。学校にプログラムの導入の説明に行くと、美術や図画工作の先生が受け持つ授業かと思われます。たまに先生方を困惑させてしまいます。デザインを教えるカリキュラムではありません。主体性を持って活動する総合学習のプログラムに近いものです。”Design”という言葉の意味や広い狭いの範囲の話、云々の議論がはじまってしまうので、ここでは詳細を割愛させてください。

名前に”Design”がつく由来の1つに、デザイン・コンサルティング・ファームのIDEOや、スタンフォード大学でデザイン思考をコア・カリキュラムとするd.schoolが本気でプログラムを開発したことがあると思います。デザイン思考が何?という方はこちらのカタログが分かりやすいので、ご参照ください。

グジャラードとモディ首相とDesign for Change


前置きが長くなりましたが、この学びのプロジェクトは2009年から、インドはアーメダバードでスタートしました。アーメダバードと言えば、政権交代したばかりのインドのモディ首相の出身地でもあります。このプロジェクトとどういう関係があるのか?

今のところその関係性は、、、わかりません。

グジャラードについて、続けます。モディ首相の出身地、グジャラード州はインド西部、「インドの州別経済自由度」調査でトップであり、経済的に栄えています。ちなみに、インドで唯一お酒が飲めない州です。2001年、モディ氏が州首相に就任後から大きく躍進しました。外資をガンガンに誘致して、あっという間に成長を遂げました。首相に就任後も、インドの株価が急騰したのはその手腕に大きな期待が集まっているからと言割れています。一方で宗教ではトラブルを抱えています。ヒンドゥー市場主義でイスラム教徒への配慮が足りずに、欧米諸国の一部は、モディ州首相に対し入国ビザを出さないという措置を取りましたが、首相就任後はイスラームへの配慮の言動も見られ、また欧米諸国も急遽関係を修復しています。

日本とは友好関係が深く、モディさんも2回の来日経験があり、日本企業もグジャラードに進出・工場を構えています。今回の「モディノミクス」と呼ばれる経済政策のネーミングはまるで兄弟のような、名前。オマージュ的ネーミングセンスはさておき、Design for Changeの故郷アーメダバードはそんなグジャラード州の中心都市です、かのマハトマ・ガンジーが活動の拠点としており、「塩の行進」をスタートさせた場所です。

そして、なんといってもインドのデザイン大学最高峰(日本でいう東京芸大?)であるNID(National Institute of Design)があります。ここからそろそろ本題に近づいていきます(お待たせしました)

Design for Changeの成り立ち


NIDの卒業生であるKiran Sethi(♀)は、卒業後、デザイナーとしてのキャリアを積み、母となります。彼女の子どもたちが学校に通いはじめたとき、既存の教育に疑問を持ち、それならと、2001年に学校を立ち上げます。その名はRiverside school。最初は数十名の小さな規模の学校でした。

フィロソフィーは

Riverside is the amalgamation of an approach to learning that is embedded in common sense and a vibrant research centre for school education. At Riverside, insights from cutting-edge research are turned into working models of pedagogical practices with a single-minded focus – student well being. Since 2001, Riverside has developed, implemented and shared a unique curriculum that is proving to be the benchmark for providing a no-compromise school education of the highest quality.

By developing and sharing such a research-based, practical curriculum, Riverside is providing schools with an alternative model which focuses on excellence and still works in different economic and cultural contexts which make it possible for children all around the country to have access to a true education.

小難しくてよく分からないのですが、日本語で要約すると、「学習に関する研究を同時に行い、その成果を活かすユニークで高品質なカリキュラムを提供するオルタナティブスクール」と言った感じでしょうか。そのときから積極的に周囲のコミュニティと関わりながら、子どもたちの学びに沿った都市環境やコミュニティを創るため、現地の警察やデザインの学校とコラボレーションを進めてきました。

それがDesign for Changeのひな形になった(のだと思います)。その実践を通じて、2009年、Design for Changeはスタートします。

Toolkitをインド全土の学校にばらまく!



はじめはベンチャー企業も驚くくらいの無鉄砲でゲリラ的な手法でした。各地の学校32,000に簡単にデザインしたツールキットを郵送、それだけです。インドにある学校の総数は……ですが、子どもたちの数は2億人はくだらないはずです。ご覧の通り人口ピラミッドがきれいに三角形です、日本はそろそろ逆三角形になりそうですが…。

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そうしたところ、30,000校以上からDesign for Chageにチャレンジしたよ!との反応が。。なぜ、こんなに反応が返ってきたのでしょうか?

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これはインドのカンファレンスでディスカッションした内容なのですが、インドを含む新興国や途上国では、まだ学校に体系だったカリキュラムが導入されておらず、送られてきたツールキットは中身はそこまであるものではなかったのですが、コンテンツに困っていた先生方及び学校の心をとらえたのでは?と話し合っていました。

そして、翌年度からは、がつんと世界展開、Tedxへの出演への反響もあり、あっという間に30ヵ国以上にKiranの熱意が飛び火します。子どもたちの「Can I?(できるかな?)」を「I Can」にが世界に広まった瞬間です。

 

日本での展開 -Design for Change Japan-


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その飛び火を日本で受け取ったのが、私です、他数名もいました。そこで、チームを組み、2011年にDesign for Change Japanは発足しました。

MIT Media Labの副所長である石井裕さんにも活動に共感いただき、発足記念で講演を実施していただきました。(講演はこちらでご覧頂けます)

昨年は、インドで行われたグローバルカンファレンスにも参加してきました。世界20ヵ国以上から教育者や子どもたちが集まり、Design for Changeの実勢ンについて議論を交わし、子どもたちの成果に耳を傾けました。日本での取り組みはクラウドファンディングのサイトにある説明文をぜひ読んでください。

https://readyfor.jp/projects/DFCJ

蛇足その1 -クリエイティブ・コンフィデンス-


やっぱり本が好きなので、大人向けの本で言うなれば、IDEOの創業者が書いた『クリエイティブ・マインドセット-想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法-』を子ども用にカスタマイズしたものがDesign for Chnageなのかもしれませ(本はまだ読んでいる途中ですが、信頼できる佐宗さんの書評を読んでいると、間違いないのでは!と思っています。)

その学びにもガイドが必要であり、それが先生です。その先生のためのガイドを創り、多くの人に届けることが、今回のプロジェクトの目標です。
https://readyfor.jp/projects/DFCJ

個人的には型にはめられることに異常な抵抗を示す体質なので、最初はこのプログラムについても、クリエイティブな学びなのに、型があるとは矛盾しているな、いったいどういうことだ?と頭は懐疑的でした、心はワクワクしていましたが…。しかしですね、学校で実践してみると、それは受け止める側も実施する側も、

「型にはめる」と捉えるのか、「創造的な学びを誘発する」と捉えるか

で分かれ道があるなと感じました。このプロジェクトには先生の協力が欠かせなくて、もちろん先生方も新しいチャレンジをすることはエネルギーが必要で、保護者からの成績に対する視線、子どもたちの反応が予測できないなど、簡単には実践に移せない事情があると思います。だからこそ、先生方に向けた「道筋をつけるためのガイド」が必要がある、そう考えています。

最後に、僕を含め、日本のDFCチームがみんな魅せられたKiranの Ted x 動画を貼付けて終わることとします。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

Naoki Yamamoto
1983年12月25日 石川県生まれ。野球漬けの高校生活を経て、北海道大学農学部に入学。「スノーボード、旅、読書」の三種の神器に明け暮れる。卒業後、システム会社に営業職で入社。 2009年株式会社グランマを立ち上げ。1年後に発展途上国の貧困層に必要なデザインやサービスを展示する「世界を変えるデザイン展」を六本木で開催、2万人を動員。2014年12月に退職し、現在無職。仕事の傍ら、ノンフィクション書評サイトHONZに参加中。