MOOC(edX,gacco)を2ヶ月で50時間以上を受講してみた記録

シゴト浪人中である。時間がある(はずな)のでMOOCで3つのクラスを受講している。MOOC、一昨年末から気になっていた。MOOCとはMassive Open Online Courseの略、インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な開かれた講義のことである。(Wikipediaより)

MOOCの現在については、Wiredの記事が詳しい。

利用可能なMOOCはどれくらいあるのだろうか? 2012年には約100だったのが、2013年にはほぼ700だった(平均して毎日2つの新しいMOOCが提供されている)。総計1,200以上のコースが開講された。

他に、この本も。

以下、この2ヶ月でMOOCを受講してみての、体験談である。


gacco


日本のMOOCの代表格であるgaccoは2014年よりスタートし、各分野で起こっている変化、その先端的なコンテンツ、旬な話題を講座の軸にしている(主観的に)。ミーハーな僕の目にはどの講座も魅力的に見えてしまう。本ならば、迷わず買って積読していたが、MOOCでは無料にも関わらず、受講の数は絞っている。修了証というインセンティブがあるから、一つ一つきっちりと終わらせたい、それに費やす時間が本とは違って、自分でコントロールすることが難しい。その中で、「gacco」の中から選りすぐって受講したのは、以下の2つ。

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ga017 インタラクティブ・ティーチング
大学院生向けに大学教員として、授業を行うための準備講座の位置づけである。しかし、ディスカッションボードから想定される参加者は、教育に強い関心を持つ人、各地で教壇にたち、授業内容の改善をしようとする先生など、多種多様である。課題は選択問題、受講後すぐに回答すれば、講義の内容を覚えているので時間はかからず、難易度も低い。

このコンテンツが私のMOOC初体験。ファーストインプレッションは「やけに丁寧に余裕をもって組み立てられているな」ということ。しかし、よくよく考えてみればそれもそのはず。教え方を教える、先生の先生が授業を設計し、講義している。しかも、MOOCそして反転授業が今後の大学教育でのスタンダードになる可能性がある。後に大きな転換期だったと語り継がれるかもしれないこのタイミング。その中で先生を育てる目的をもってコンテンツをデザインしている「インタラクティブ・ティーチング」はそれに準じた内容、つまり教え方の変革をリードしていく組み立てになっているはずだ。今後のMOOCの原型、テンプレートになる可能性すらある。作り手としては非常に高いハードルとプレッシャーがあったに違いない。

2015年1月27日現在、すべての講義を拝聴し、残すところは最終課題のみである。

学習期間:2014年12月1日〜2014年2月1日(予定)
学習時間:22時間
難易度:★☆☆☆☆
課題の重さ:★☆☆☆☆

ga018 人とロボットが共生する未来社会(講師:石黒浩)
課題が毎回800字程度の記述のため、インタラクティブ・ティーチングの軽い課題と比較すると、かなり重く感じる。しかし、実際には時間はかかるけれども、受講した内容を総括し、自分のアイディアを書き込めば加点される親切かつシンプルな内容。また、課題の回答後に、他の参加者5人が回答した内容を評価・コメントし、最後に自己評価を行う。これは、ルーブリック評価と呼ばれるシステムを導入しており、より授業の内容理解が深まるように設計されているのだと思われる。ちなみに、ルーブリックについては、「インタラクティブ・ティーチング」の中で、教わっていたので、それを別コンテンツで偶然にも即実践できた。

こちらは、2015年1月27日に最終課題を提出。

Screen Shot 0027-01-27 at 9.36.17 PM

ぎりぎりクリア。最終レポートは本講義の総括として、昔の動画を振り返ってみながら、3時間ほど費やして記述した。ぎりぎり越えてよかった。ルーブリックの評価をしていても、点数を伸ばすことが非常に難しい講座だったと思う。修了条件を満たした人は多くないはずだ。

学習期間:2014年12月26日〜2015年1月27日(予定)
学習時間:15時間
難易度:★★★★☆
課題の重さ:★★★☆☆


edX


Transforming Business, Society, and Self

オットー・シャーマーなどが開発したU理論のコース。日本では未翻訳本『Leading from the Emerging Future: From Ego-System to Eco-System Economies』が講座の軸である。(現在、翻訳中らしい)

僕なりの解釈であるが、本講座の狙いは以下の一言に集約されている。

What we try to do instead is make the connection between social change and personal transformation.

Week1の前に、Week0が存在する。そこでは映画「fire in the blood」を見、課題本の序章を読むことを求められる。また、Live Sessionも期間内に3回ある。次回に向けた課題は都度あるようだが、日本のMOOCにあるようなテストや論述の課題はない。それより重視されているのは、理論の理解を越えて、自ずから実践すること。その仕掛けとして、各地でコーチングセッションが開催されている。日本で行われているのだろうか、そうであれば、参加したい。

心配な英語については、0.5倍速で聞くこともでき、安心、その分時間が2倍かかるのは否めない。しかし、私自身の経験から言うと、最初は0.5倍速で耳を慣らし、なれてきたタイミングで通常の速度で聞き始めた。英語字幕が映像の右側に出てくるため、聞き取れない場合にも安心。過去にU理論などを通読していて、知識もあるという前提ではあるが、充分に理解できる。

学習期間:2015年1月10日〜(現在、week2)
学習時間:15時間
難易度:★★★☆☆
課題の重さ:★★★★☆


【番外編】NHK


パリ白熱教室
こちら話題の書籍『21世紀の資本論』に関するもの。パリ経済学校で行われている講義を収録し、全6回に分けて放送予定。テレビ番組であってMOOCではないので、講師とのインタラクティブな要素や事前課題や事後課題はない。

分厚い本をこつこつと読むよりも、全六回の番組を6時間見るほうが概要理解にはよさそうだ。

学習期間:2015年1月13日〜
学習時間:2.5時間
難易度:★★☆☆☆
課題の重さ:☆☆☆☆☆


今後の受講予定のコンテンツ


MOOC「社会人のためのデータサイエンス入門」西内啓など
MOOC大航海時代の日本:日欧文化交流の歴史(ヒストリア)
edX「Introduction to Psychology」St. Margaret’s Episcopal School
edX「The Science of Happiness」UC BerkeleyX
MOOC「脳と創造性 Creativity and the brain」茂木 健一郎


My Tips


<1>他に気をとられて映像だけに集中するのが難しいので、邪魔の入らない朝の時間と入浴の時間を使う。
<2>基本は早送り、課題を先に見て映像を見ると、問題意識は持てるが、答え探しになってしまう。時間は節約できるが、お勧めしない。
<3>英語は日本語で理解していては時間が足りないから、英語のまま理解する。英語の学習にはなるが、それが目的に転換しがちになる。日本語でも楽しめる内容を選んだ方がいい。時間は日本語の数倍かかるので、選定は慎重に。
<4>やり遂げるインセンティブは高くないので、興味があるものだけをやったほうがいい。2015年現在は修了証を得たとしても、日本国内では自己満足の域を越えられていないように思う。
<5>参加者との交流は気が向いたら、やればいい。しかし、交流を行わないと効果が高まらないコンテンツもあるので、そのときは積極的に。英語のDiscussion Boardを見ても、みんな英語の文法は適当であるが、同じ授業を受けているため、コンテキストが共通しており、通じる。

最後に、まったく個人的ではあるが、20代は本からのインプットの中心に据えていたため、映像からのインプットは、得意としていなかった。けれども、想像以上に刺激的だった。映像って、こんな効率良いのか!(もちろん、本よりは受動的なインプットのため集中力が求められる)


その他MOOCや教育に関する参考資料として


Naoki Yamamoto
1983年12月25日 石川県生まれ。野球漬けの高校生活を経て、北海道大学農学部に入学。「スノーボード、旅、読書」の三種の神器に明け暮れる。卒業後、システム会社に営業職で入社。 2009年株式会社グランマを立ち上げ。1年後に発展途上国の貧困層に必要なデザインやサービスを展示する「世界を変えるデザイン展」を六本木で開催、2万人を動員。2014年12月に退職し、現在無職。仕事の傍ら、ノンフィクション書評サイトHONZに参加中。