陸軍中野学校

衝撃の映画だった。

見たタイミング、見た場所、絶妙だった。

テロリズムと戦争時におけるスパイ活動。

中野という場所。

そして、なにより映画としてすばらしい完成度。

戦前から戦中にかけて実在した大日本帝国陸軍のスパイ養成機関を部隊にした映画。

1.突然の招集による主人公とフィアンセの別れ
2.衝撃の指令と人生の転換
3.フィアンセが持つ男性への強い想い
4.それを振り切らざるを得ない中野学校の試練と使命
5.フィアンセの想いを巧みに利用する敵
6.フィアンセに想いを寄せるライバルとそれを利用する敵軍
7.悪だとわかっていても、主人公への想いの強さが勝ることで行動が加速する
8.試練の最終ゲートでフィアンセと主人公の偶然の再開
9.フィアンセのスパイ行動を発見し、動揺する主人公
10.愛よりも使命を優先し、フィアンセを殺害する主人公

ヒロインをせざるを得ない時代背景を感じる。
ストーリーの大筋をざっくりと振り返れば、こうなる。

しかし、エピソードとして挟み込まれる陸軍中野学校で教えられ、実践されていた内容があまりにもリアリティがある。時代は違うので、テクノロジーは違うかもしれないが、メンタリティと人間への接し方は変わらないはずだ。人道を外れた非道な方法論を身につけていく。柔道、剣道は基本。自動車や飛行機の構造を学び、爆弾、生物兵器に金庫破り。さらには女性の身体、社交ダンスに性行為など、ありとあらゆる状況に備えるための、実践的な学び。

そのやり方の背景にあるのは、崇高なビジョン。
それは自分が潜入する国の民衆を解放し、大義を叶えるためのスパイ活動。世界をよりよい場所にするため、というビジョンがあった。
そして、個人として決して死んではいけない、生き延びろ!という愛のある命令。

別の視点からは、陸軍中野学校一期は軍の中では、立ち上がったばかりの組織で実績もなく、角の方に追いやられていた。情報戦よりも現地での戦いに重きを置いていた当時の日本軍の体質が見える。立ち上がったばかりの社内の小さな組織やベンチャーが社会から受ける冷たい視線とそっくりだ。

イスラーム国の中で、教育されている内容と掲げられているビジョンと重なるのではないかと想起させられる。

Naoki Yamamoto
1983年12月25日 石川県生まれ。野球漬けの高校生活を経て、北海道大学農学部に入学。「スノーボード、旅、読書」の三種の神器に明け暮れる。卒業後、システム会社に営業職で入社。 2009年株式会社グランマを立ち上げ。1年後に発展途上国の貧困層に必要なデザインやサービスを展示する「世界を変えるデザイン展」を六本木で開催、2万人を動員。2014年12月に退職し、現在無職。仕事の傍ら、ノンフィクション書評サイトHONZに参加中。