目的の罠

そもそも生きる目的などない。

けれど、不特定多数とのコミュニケーションにおいて、予測不可能な人間を相手にすることは難しい。だから、相手は目的を知りたがる。そうして、本人は自分に問いかけて、一貫性や必然性を発掘し、目的なる幻想を作り上げる。その目的は、相手のレイヤーにあわせて、伸び縮みさせることができる。

相手の理解を得られやすくなり、いつの間にか気持ちがよくなっていく。そして、さらなる一貫性を求めて、根源的に突き詰めていく。いつの間にか、相手の問いかけに関係なく、固まりはじめた目的を振りかざすようになる。目的がコミュニケーションの万能薬になっていく。もともとは中身なんてなかったのに。ただの幻想のストーリーだったのに。

相手の予測可能性のために作り上げた目的にいつの間にか、自分自身が拘束されていく。

そもそも生きる目的などないのに。