『「大発見」の思考法』

山中 伸弥,益川 敏英
文藝春秋
発売日:2011-01-19

iPS細胞のネーミングのアイディアは実はiPodからインスパイアを受けたとiPS細胞の第一人者の山中さんは言っている。そんな身近なことから、いざノーベル賞級の大発見まで、いったい科学者という人たちは何を考えているのか?2009年にノーベル物理賞を受賞した益川敏英さんとiPS細胞の第一人者である山中伸弥さんが等身大で対談している一冊。

対談で最初から最後まで終わってしまう本書であるが、一方が質問して、一方が答えるわけでなく、インタラクティブに質問をしあっている点が個人的にユニークに感じたし、それぞれ化学者らしく(偏見かもしれないが)気を使わずに、質問し合っている点、そして、答えが用意されているわけではない対談なので、親しみのもてる内容になっている。

iPS細胞ってなんだっけ?、なんでこの人はノーベル賞取ったんだっけ?レベルの人が読んでも断然おもしろい。一体世紀の大発見を行う人の普段の行動や躓いたときやアイディアがでなくなったときに何を考えているのか、案外身近なことがわかる。

ただ、最後に「コロンブスの卵」で締めくくっているところがぼくが個人的に本書でもっとも好きなところ。

「「コロンブスの卵」はまだまだたくさんあるはずです。それを必死に探していくのが、我々科学者に与えられた使命だと思います。」と山中さんはおっしゃっているが、「コロンブスの卵」と表現されると、身近な生活でも発見できそうな気がして、科学者じゃなくとも、まさかノーベル賞級の発見ができるのではないか?と勝手に勇気づけられたわけである。

Naoki Yamamoto
1983年12月25日 石川県生まれ。野球漬けの高校生活を経て、北海道大学農学部に入学。「スノーボード、旅、読書」の三種の神器に明け暮れる。卒業後、システム会社に営業職で入社。 2009年株式会社グランマを立ち上げ。1年後に発展途上国の貧困層に必要なデザインやサービスを展示する「世界を変えるデザイン展」を六本木で開催、2万人を動員。2014年12月に退職し、現在無職。仕事の傍ら、ノンフィクション書評サイトHONZに参加中。